学びたかったことシリーズ「宗教」から旧約聖書を紐解いています。前回の「サムエル記Ⅱ・下」では、アブシャロムがダビデに謀反を起こしますが敗れました。神に守られていたダビデは人々にも愛され、絵画に多く残されていました。今回は「列王記Ⅰ・前半」です。様々な王が出てくるので列王記と言います。
ソロモン王の誕生
時は流れダビデ王は年を取り、おじいさんになっていました。次の王になりたいと、ダビデの息子アドヤニは勝手に兵を集めて即位パーティーを開きました。
それを見た予言者ナタンはアドヤニが王になってはならないと直感が働いて、ダビデに会いに行くとと「必ずソロモンが次の王になる!」といい、すぐにソロモンをイスラエルの王とする儀式を行いました。ソロモンはサムエル記Ⅱで出てきた、ダビデとバテ・シェバの子供です。
ダビデは死が近づくと「神の命令とモーセの律法を守りなさい。そして私を呪ったシムイという男を許すな!」とソロモンに伝えました。ダビデは死に、ダビデの町に葬られました。ソロモンは自分に従順でない兵を一掃しました。アドヤニやアドヤニに賛同していたヨアブ(ダビデの右腕だった)、ダビデに伝えられた通りシムイも探して殺しました。殺したというよりも、罰を受けずに逃げ出したから殺したというソロモン的にはや無負えない殺しでした。
知恵を望んだソロモン
ソロモンは王となり、エジプトの王と縁を結んでエジプト王の娘を妻にしました。初めてほかの国と同盟を結んだのがソロモンです。外交的ですね。
ソロモンはある夜、神にいけにえを捧げて寝ると、夢に神が現れました。神は「あなたに何を与えようか?」と聞くとソロモンは「善悪を正しく判断できる心をください。」と言いました。「今までの王は長寿や冨を求めた。あなたのように知恵と判断力を求めた王はいなかった、この先もこんな王は出てこない。知恵と判断力のほかに冨と名誉も与えよう。」と神の出血大サービスが始まりました。知恵を欲しがるソロモンかっこい!!
次の日ソロモンのもとに2人の女がやってきました。2人とも生まれて3日目の赤ちゃんがいましたが、片方が死んでしまい、夜に赤ちゃんをすり替えて、自分の赤ちゃんだと言い張っているのだそう。ソロモンが「その生きている赤ちゃんを剣で半分に切ってそれぞれに与えよう。」と判決を出すと、1人は「そんなことをするなら赤ちゃんは相手にあげてもいいです。」と言い、もう1人は「赤ちゃんを半分に切ってください。」と言いました。このソロモンの審判の場面も絵画で描かれています。
ピーテル・パウル・ルーベンス作「ソロモンの審判」
ソロモンは「赤ちゃんをあげてもいい」と言った女に赤ちゃんを渡し「決してその子を殺してはならない。」と言いました。とんちのような話ですが、このソロモンの知恵と判断力にイスラエル人は驚き、名声が広まりました。
ソロモン王は3000の箴言(戒めの言葉)を語りました。その知恵を聞くために全ての国の王がソロモンのもとを訪れたといいます。箴言の中でソロモンは「知恵はあなたが望むどんな物より尊い。」と言っています。このように現代にも通ずる名言がたくさん書かれているのです。
神の箱神殿を作る
ソロモンは王になって4年目に、ダビデが計画していた神の箱を入れる神殿を作ることにしました。ソロモンが王になり平和な時代が訪れたため、建設しやすい時期になったのです。それから7年で神殿が完成しました。その後ソロモンは自分の神殿も13年かけて建設しました。神の箱を移したくさんのいけにえを捧げて引っ越しパーティーをしました。さらに神とソロモンの信頼関係は深まり、ソロモンもさらに名声を得ていきました。
イスラエル人が出エジプト記でエジプトを出てから480年も経っていました。神は、ソロモンにイスラエル国の永遠の繁栄を誓いました。
ソロモンの母バテ・シェバもソロモンの知恵の力を見に来ました。ソロモンに用意していた質問を問うと、その全てに見事に回答しました。バテ・シェバはソロモンの力を認めました。ソロモンの力を見に来る人が、金銀・宝石・衣服・食料・武器・油・象牙などを持ってくるので自然とソロモンは富を得ていきました。
エドワード・ジョン・ポインター作「シェバ女王のソロモン王訪問」
国際的なソロモン王の末路
ソロモンはエジプト王の娘のほかにも多国籍の女性を妻にしました。700人の王妃と300人の側妻がいたとされています。その行動は神の「イスラエル人以外の人種と交わってはいけない。」という教えに背いていました。さらにソロモンは多国の女性の影響で神以外にも他の神を信仰していました。
フランス・フランケン作「ソロモン王の偶像崇拝」
ソロモンが女性にそそのかされて偶像を見つめすさまが分かりやすく描かれていますね。ソロモンは神以上に知恵をつけてグローバルな精神になっていたのかもしれません。しかし神の言うことはゼッタイ!なので、神は「背いた罪にイスラエル国を分断させる。」と言いました。
ダビデは堕落こそしましたが、常に神と共にあり、神と一心同体でした。そんなダビデを憐れんで神はソロモンの死後にイスラエル国を破壊させるといました。
ここで「列王記Ⅰ・前半」は終わりです。ソロモンが王となり与えられた知恵と判断力で、富と名誉を得ていきました。しかし他の神と同時信仰してしまったため神を怒らせてしまいました。次回からは「列王記Ⅰ・後半」です。イスラエル国が分断されてしまいます。それではまた次回。
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